英語IR協会準備室

英語IRコンサルタント西村麻美のブログ

東芝メモリ売却先決定の先延ばし、やはり代替案で資本増強か

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13日の取締役会では売却先を決定しないとの報道。

提携相手のWDとは議決権の比率で折り合わず。

来週にかけて日米韓連合と交渉再開し、売却決定とあるが

おそらく無理と現経営陣は判断しているような気がする。

各国での独禁法審査が最低でも数カ月、中国市場では年単位でかかる。

と考えるとどう考えても2018年3月末に債務超過を解消というのは不可能。

(現時点で2018年3月末は4100億円の債務超過と会社予想)

 

推測するに現経営陣は資本増強するという代替案を考えていると思う。

すでに東芝は特設注意市場銘柄指定なので公募増資はできない、が、

三者割当増資、デット・エクイティ・スワップ(債務の株式化)など

をして資本増強をする事は検討していると思う。

 

ファイナンスの他にグループの資産の売却は当然するつもりだろう。

 

現時点での東芝時価総額は1兆4000億円。4000億円強のファイナンスにメインバンクをはじめ銀行は反対が予想されるが、

 

東芝原子力ビジネス、とくに廃炉をになっている事からすでに国策会社に近い役割をしているので、政府圧力で強引に第三者割当増資を引き受けるようにプレッシャーをかけるのだろうと思う。

 

そもそも東芝の業績が急激に悪化した原因はアメリカの原発を買収した

ことなので、これは企業としての判断というより国の意向に沿ったもの

であろう。

 

そう考えるとこの企業に民間企業としての自立した経営判断を求めるのは無理がある。

 

WD以外の会社に東芝メモリを売却となるとこれからWDとの裁判はますますお金と時間がかかるのが目に見えているので、ますます自立は無理なのかもしれない。